「50歳からの英語」

 英語を自由に操れるようになりたい。そんな夢をどなたも持っていることでしょう。私もそんな若者の一人でした。新制中学第3期生、そんな私が手にした教科書は米国お仕着せのJack & Betty 今思えば速戦的かつ実用的理想的なものであったと思います。
 当時誰でも知っていたCome come everybody how do you do and how are you? と同一線上にあったこの教科書は古臭い英文学者や、敵性語として英語を使うことを禁止されていた時代を過ごした当時の先生方には手におえる代物ではなかったようです。

 元来好むと好まざるとにかかわらず英語を広く世界に広めたのは帝国主義、植民地政策でした。形は異なっていましたが敗戦後の日本は米国にとって絶好の実験場であったにもかかわらずなぜか画期的成果は見られませんでした。この辺りに日本人の外国語に対するなんとも説明しがたいバリアーが存在するようです。教える人、習う人に共通したある種のinferiority complexがneckだったのです。私も例外ではありませんでした。

 今のように巷に英会話教室が乱立していませんでしたし当時大学を出て英語が少しでも話せる人はEnglish Speaking Associationで熱心に勉強をした人か駐留軍のキャンプでアルバイトをしている人の2種類でした。官費留学のエリートは別として。留学をした人の英語はそれは流暢なものでうっとりと聞きほれたものでした。現状を見てもFM放送のDJで幅を利かせている帰国子女とごく普通に英語を勉強している人との落差は愕然とするぐらい大きく絶望的です。

 言葉を習得するメカニズムは幼児が自然に努力無しにacquireするのと8歳以降勉強してlearn、習得した言語運用能力は別物だというのが私の長年の努力の末の結論です。
 限界があるのです。それがわかればその範囲内で到達目標が定められます。30余年英国の会社で働きある程度英語のみで仕事も生活もできるようになっても超えられなかった限界を具体的の挙げてみます。
 純文学、高級新聞の見出し、現地人同士の会話、知らないスポーツの実況放送、(競馬、クリケットなど。)、ローカル線のアナウンス、映画、日本で言う漫才、落語のような芸能放送などを100%理解出来るようになることは残念ながら物理的に無理です。

 でもがっかりするには及びません。与えられた範囲内での英語によるコミュニケーションできる楽しさ。ちょっとした事前準備で80%以上理解できる外国映画の見方、NHKラジオ、テレビの活用法、新聞のFULL PAGEを使っての勉強をしないで英会話ができるようになるという教材の嘘と本当をご一緒に考えながらもっとも効果的な勉強法を皆様と一緒に考えていきたいと思っています。


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